ラップ史上最高にカッコいいパンチラインはコレだ④【今日の英語】

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Welcome back y'all to another episode of Big Tree In The House!

 

ラップミュージックを聴き始めてもうかれこれ20年くらいになるが、いまだにストレートで強烈なメッセージやユニークでウィットに富んだリリック(歌詞)を見つける度に1人でニヤリとしたり、何度も頷いたりしている。

 

このコラムでは、最近ラップを聞き始めた人がラップミュージックの魅力に気づいてくれたり、また自分のようにラップのリリックから英語に興味を持ってくれる人がいたら嬉しい、という思いから、ヒップホップ界の先駆者たちや、わりと最近のアーティストのリリックの中から、「これはやられたっ!」と思わず唸ってしまうようなエッジが効いてオリジナリティが溢れるパンチラインを紹介していこうと思う。

 

それじゃ、早速今日のエントリ―を見ていこう。

 

最高にCOOLなパンチラインはコレだ

 

And when it comes to gettin' nookie I'm not a rookie I got girls that make that chick Toni Braxton look like Whoopi

 -Big L, "Put It On" (1995)

 

 (訳:おれはセックスに関しちゃベテランで、おれの周りにはまるでトニ・ブラクストンがウーピー・ゴールドバーグに見えるくらいの可愛い女がいっぱいいるぜ)

 

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解説

 

Big Lのラップは独特のリズムで「タタタッ、タタタタッ」とテンポよく流れてスピードも速いので聞いただけで理解するのは難しいですが、このパンチラインの意味を初めて完全に理解したときは思わず、「うおぉーーーー!!」って唸りました。冗談抜きで笑

 

まず、"when it comes to~" ですが、これは熟語で「~については」という意味です。これは日常でも本当によく使う表現なので絶対に覚えておきましょう。"to" の後は名詞(句)が続くので、直後に動詞が来る場合は "進行形(~ing形)" になるので注意。この場合は "get" の進行形である "getting" になっていますね。

 

そして次の "getting nookie" についてですが、"nookie" は女性とセクシャルなこと(ハグ、キス、セックスなど)をすることですが、ほとんどの場合セックスのことを指すので普通にセックスでいいでしょう。(普通にセックスって笑)

 

はい。で、次の "I'm not a rookie" は、"rookie" は「ルーキー」つまり「新人」のことですね。なので、「おれは新人じゃない」という意味になり、ここでは同じ意味なので文脈的に「ベテランだ」という訳にしました。

 

ここまでを全部繋げると、「おれはセックスに関しちゃベテランだ」という風になります。ほーい。じゃあこれで前半部分はOKですねー。じゃ、お次は後半を見ていきましょう。

 

まずは "I got girls"。これは単純に「おれは女(複数形)を持ってる」なので、「おれには女がたくさんいる」くらいでOKです。どんな女なのかというのが次の "that" 以降で説明されているので見てみると、

 

"that make that chick Toni Braxton look like Whoopi" と続いています。ここはちょっと難しい部分なのでしっかりつながりを考えながら見ていきましょう。

 

まず気になるのが "that make that" と "that" が続いていますね。実はこの "that" は同じ単語でもそれぞれ違う働きをしています。最初の "that"はいわゆる「関係代名詞」の "that" で、直前の名詞(girls)について、"that" 以降の部分で修飾しているので、"that" 自体は日本語には訳しません。

 

その後は、"make that chick Toni Braxton" と続いていますが、まず最初に頭に入れておいてほしいのは、"make+人/物+動詞の原形" という構文。この形は超重要で超頻繁に使われるので覚えましょう。意味は「人/物を~させる」です。後から説明するのでとりあえずこの構文を頭に入れといてください。

 

そして2番目の "that" ですが、こちらは「形容詞」の "that" で、「あの」って意味です。"chick" は「女の子」で、そこにトニ・ブラクストンが続いているので、ニュアンスは「あのトニ・ブラクストン」くらいの感じになります。ちなみにトニ・ブラクストンというのはめちゃくちゃ可愛い黒人の歌手/女優で、みんなの憧れの存在です。

 

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トニ・ブラクストン

 

そんで最後の "look like Whoopi" ですが、「ウーピー・ゴールドバーグみたいに見える」という意味です。ウーピー・ゴールドバーグと言えば、「天使にラブ・ソングを」とかをはじめ、ものすごい数の映画に出ているちょっとごつっとした黒人のおばさんですね。

 

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ウーピー・ゴールドバーグ

 

はい、ではここでもう一度 "make+人/物+動詞の原形" 「人/物を~させる」の構文を思い出し、それぞれ当てはめて考えてみると、"make"+"that chick Toni Braxton"+"look" となり、「トニ・ブラクストンを~みたいに見えさせる」という意味になり、何みたいに見えさせるかというと、"look" 以降が "Whoopi" なので、「トニ・ブラクストンをウーピー・ゴールドバーグみたいに見えさせる」という文が完成します。この文全体が、1番目の "that"(関係代名詞)によってその前の「おれにはたくさん女がいる」の「女」にかかっていて、まとめると「おれにはトニ・ブラクストンをウーピー・ゴールドバーグみたいに見えさせるような女がたくさんいる」ということは要するに、

 

=「おれの周りには、まるであの超ホットなトニ・ブラクストンですらゴツゴツのウーピー・ゴールドバーグに見えてしまうくらいの超超ホットな女がたくさんいるぜ」

 

という意味になります。すげー。

 

はい、そしたらあとは前半と後半を組み合わせれば完成ですね。

 

 完成形は、意訳ですが、

 

「おれはセックスに関しちゃベテランで、おれの周りにはまるでトニ・ブラクストンがウーピー・ゴールドバーグに見えるくらいの可愛い女がいっぱいいるぜ」

 

という風に訳しました。

 

あーー・・・文法的に説明するのは本当に疲れます。この説明でわかっていただけると幸いです。

 

 

ちなみにこのラインでは "nookie"、"rookie"、そして "Whoopi" と韻を踏んでいるワケですが、何がすごいって、スラングで「セックス」を表す言葉で "whoopee"(発音はウーピーと一緒)というのがあるんです。なので、ここでは音で韻を踏んでいるのと同時に意味的にも韻を踏んでいることになってるんです!

 

初め自分はこの "whoopee" という言葉を知らなかったんですが、ある時その事実を知って思わずウー◯ーみたいなう◯こを漏らしそうになってしまいました。

 

 

・・・いやぁ、Big L、恐るべし。

 

が、残念なことに彼はこの曲が収録されているアルバムをリリースしたわずか4年後に、仲間による銃撃によってこの世を去っているんですよね・・・。なんとも悲しい話です。

 

ちなみにニューヨークのハーレムにはBig Lを描いたストリートアート("mural" という)があって、ファンの間では人気のスポットとなっています。自分は初めてNYを訪れた際には諸事情により行くことができなかったので、次回チャンスがあれば必ず行きたいと思っています。

 

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―――はい。ということで、今回の「ラップ史上最高にカッコいいパンチライン特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、みなさんの英語学習の助けになれれば光栄です。

第一回から見てみたい!という方は是非こちらからチェックしてみてください。 

www.bigtreeinthehouse.com

 

 

それでは次回もお楽しみに☆