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LとRだけじゃない!音声学に学ぶ日本人が注意すべき”L”の2つの発音

こんにちは!通訳/ストリート英会話講師のbigtree(@bigtree1000)です。

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英語の発音の話になるとよく、「日本人は”L”と”R”の発音の区別ができていない」ということを聞きますね。

これは確かにそうで、日本語の「ラリルレロ」の発音と英語の”L”と”R”の発音の関係性は間違えやすく、特に”R”の発音が正しくできていないがために言っていることが上手く伝わらないというのはよくあることです。

でも、実はあまり取り上げられることはありませんが、日本人が発音で気を付けるべきことは”L”と”R”の発音の違いだけではないんです。

え、どういうことですか?

意外に思うかもしれませんが、実は“L”の発音は場合によって2つの大きく異なる音になり、この違いがわかっていないと聞いている側には「この人は”L”の正しい発音がわかっていない」と一発でバレてしまうんです。

なので、もしあなたがきれいな発音で英語を話したいと思っているのなら、“L”の発音にも気を付ける必要があります。

事実、この2つの”L”の発音の違いを理解してしまえば、あなたの英語の発音は急激にネイティブスピーカーのそれに近づくでしょう。

これらの違いは決して複雑ではなく、パターン化されているので、一度その仕組みを覚えてしまえばきっと簡単に適応することができるはずです。

どうせ英語を勉強するなら、発音も一発で聞き取ってもらえるようなきれいな発音にしたいですよね。

きれいな発音になりたいです

ということで、今日は”L”と”R”の発音の違いのトピックに隠れて普段あまり取り上げられることのない“L”の2つの発音の違いについて、英語の音声学で取り扱う内容をわかりやすく簡単に紹介しようと思います。

それでは早速その詳しい内容を一緒に見ていきましょう。

まずはLとRの発音の違いを簡単に

とその前に、いきなり”L”の発音の違いに入る前に、日本人が間違えやすい”L”と”R”の発音の違いについて簡単におさらいしておきましょう。

この部分は“L”の2つの発音に入る前にきちんと理解しておくべき基本的な事項になります。

まずはこの”L”と”R”の音の区別をしっかりつけて、”L”本来の音を理解したうえで”L”の2つの音を見ていくことが必要なため、さらっと見ていきましょうね。

また、実は”L”と”R”の音の違いをよく理解していなかったという人は良い機会なのでここでしっかり身につけてしまいましょう。

日本人が間違いやすい”L”と”R”の発音

それではまず、日本人がどうして正しく”L”と”R”の発音ができないのかという部分について考えましょう。

日本語の「ラリルレロ」をローマ字表記すると、“ra, ri, ru, re, ro”となりますよね。

それでは実際に日本語で「ラリルレロ」と言ってみてください。

ラーリールーレーロー

はい、これが日本語の「ラリルレロ」の音です。

それでは、もう一度「ラリルレロ」と言ってみてください。ただし、今度は言う時に「舌の先の位置」に意識を集中して言ってみて下さい。

どうですか?「ラリルレロ」の一つひとつの音を発音する際に、毎回舌の先が上の前歯裏側の歯ぐきの盛り上がった部分に当たっているのがわかると思います。

確かに当たっていますね

この「上の前歯裏側の歯ぐきの盛り上がった部分」というのは、音声学上の専門用語で、“Alveolar Ridge”(アルビオラ―リッジ)と呼ばれています。

※これ以降はこの“Alveolar Ridge”という言葉を使って説明していきますので、”Alveolar Ridge”と出てきたら「上の前歯裏側の歯ぐきの盛り上がった部分」という風にイメージしてくださいね。

MEMO

“Alveolar Ridge”(アルビオラ―リッジ)=音声学上の専門用語で、「上の前歯裏側の歯ぐきの盛り上がった部分」のこと。

ローマ字表記で”ra, ri, ru, re, ro”となる日本語の「ラリルレロ」の音は、発音する際に、必ず舌の先がこの”Alveolar Ridge”に当たります。

しかし、実は英語の”R”の正しい発音は、絶対に舌の先がこの”Alveolar Ridge”に触れません。

ええ、そうなんです。重要なことなのでもう一度言うと、英語の”R”の音を発音する際は舌の先は「上の前歯裏側の歯ぐきの盛り上がった部分」に当たらないんです。

もしあなたがいままでずっと”R”の発音を舌の先が”Alveolar Ridge”に当たった状態でしていたとしたら、これを機に改めましょう。

ええ、思いっきり当たっていました笑

この日本人に典型的な”R”の発音が改善されるだけでもだいぶ伝わりやすい発音になると思います。

正しい”R”の発音

それでは日本語の「ラ行」の発音と英語の”R”の発音は違うということがわかったところで、じゃあどうやったら”R”を正しく発音できるかというところを見ていきましょう。

まず、”R”を正しく発音するには、先ほど言ったように舌の先が”Alveolar Ridge”に触れないようにします。

では舌の先はどこにあるのかというと、”R”を発音する際にはまず舌をグルンと口の奥の方へ巻き上げ、舌の先を口の天井からだいたい5mmくらいのところに持ってきます。

その状態から”ra, ri, ru, re, ro”と言ってみてください。この時舌の先がどこにも触れないように注意してくださいね。

どうですか?上手くできましたか?

うーん、なんかものすごく違和感があります

最初は少しぎこちなく感じるかもしれませんが、これが正しい”R”の発音です。

音としては日本語の「ワ行」に近いと感じるかもしれませんが、「ワ行」の場合は舌は巻き上げず、舌先は口の前の方に来ていると思います。

そうしたら、ここで少し”R”の発音の練習をしてみましょう。正しい舌の位置を意識しながら次の単語を発音してみてください。

<例>

“red”「赤」

“arrive”「到着する」

“R”の部分を発音する際に舌の先がどこにも当たらずに言えたらOKです。

正しい”L”の発音

正しい”R”の発音が理解できたところで、次は英語の”L”の発音を見ていきましょう。

先に言ってしまうと、実はこの”L”の発音は私たち日本人にとっては決して難しくありません。というのも、英語の”L”の発音は、実は日本語の「ラ行」の発音に非常に似ているからです。

英語の一般的な”L”の発音というのは、日本語の「ラ行」を発音する時のように、舌の先を”Alveolar Ridge”に当てて発音します。

なので、変に意識することなく、自然に「ラリルレロ」と発音すると、英語の”L”の音になります。

なるほど、実は英語の”L”の音が日本語の「ラ行」の音だったんですね

ええ、これも実際に練習してみましょう。次の単語を肩の力を抜いて日本語の「ラ行」の音で自然に発音してみてください。

<例>

“led”「導いた/導かれた」(leadの過去/過去分詞形)

“leave”「去る」

どうですか?日本語の自然な「ラ行」の発音。これが英語の”L”の一般的な音です。特に“led”“red”の違いを意識してみてくださいね。

“L”と”R”の違いまとめ

ということで、ここまで見てきた”L”と”R”の音の違いについて、誰でもわかるように簡単にまとめてみましょう。

それぞれの音の特徴を一言でまとめると、

ココ重要

“R”:舌を巻き上げ、舌の先はどこにも触れないように発音する

“L”:舌の先は”Alveolar Ridge”に当て、日本語の「ラ行」と同じように発音する

となります。”R”の音は日本語では馴染みのない舌を巻く口の形になるので、正しい発音に慣れるまでには少々違和感があるかもしれません。

それでもやはり”R”の発音が改善されるとあなたの英語は劇的に理解してもらいやすくなるので、上の例を使って何度も何度も実際に声に出して練習して正しい音を身につけましょう。

2つのLの音について

はい、お待たせしました。

“L”と”R”の音の違いが完璧にわかったところで、いよいよ今日の本題に入っていきましょう。

前の項目で確認したように、”L”の一般的な発音は日本語の「ラ行」の音です。でも、冒頭に述べたように、実は“L”はある一定の条件の時にだけ「ラ行」の音ではなくなるんです。

ここではその条件と、その際の発音について詳しく見ていきたいと思います。

音声学での2つの”L”の名称

ズバリ、音声学では”L”の2つの異なる音のことをそれぞれ“Clear L”“Dark L”という風に呼びます。

いきなりよくわからない用語が出てきましたが慌てないでくださいね。これからそれぞれについてちゃんと詳しく解説していきます。

実はこの“Clear L”(クリアーL)と“Dark L”(ダークL)なんですが、きちんとしたルールに従って使い分けられています。

それらのルールをしっかりと覚えてしまえば、その後は特に意識することなく自然に発音を使い分けることができるようになるので、これからそのルールと発音の仕方を一緒に学んでいきましょう。

“Clear L”の発音

はい、ではまず“Clear L”の方からいきましょう。

まず”Clear L”の発音の仕方についてですが、これは簡単で、日本語の「ラ行」の発音と一緒と思ってください。

“Clear L”は「ラ行」の音なんですね

そうです、先ほど見てきた”L”の一般的な発音(舌の先を”Alveolar Ridge”に当てる言い方)が”Clear L”の発音の仕方です。

これは私たち日本人にとっては特に意識することなく自然に発音できる音ですよね。

例を挙げると、次のような単語を発音する時には”Clear L”の音で発音します。

<例>

“lucky”「ラッキー」

“color”「色」

“follow”「フォロー」

“L”の部分は舌の先が自然に”Alveolar Ridge”に当たります。実際に声に出して練習してみましょうね。

なので、”Clear L”については特に何も意識することはないので安心してください。問題はダークサイドからやって来た”Dark L”の方です笑

次はこの”Dark L”がどんな奴で、どんな時にやってくるのかについて解説していきたいと思います。

“Dark L”の発音

はい、それでは今日の一番のポイント、“Dark L”について解説していきます。

まずは一番わかりやすく説明するために、どんな単語に”Dark L”が含まれているか例を挙げてみたいと思います。次の単語を見てください。

<例>

“fall”「落ちる」

“hell”「地獄」

“filthy”「汚らわしい」

ダークサイドということでちょっと暗めのワードをチョイスしてみました笑

邪悪な感じが出てますね笑

これらはほんの一例ですが、上の単語の”L”の部分を発音する時には全て”Dark L”の発音になります。

それでは実際にこれらの単語を声に出して発音してみてください。

はい、あなたの発音はどのようになりましたか?

ここで、それぞれの単語を「ふぉーる」、「へる」、「ふぃるすぃー」と発音したあなた。残念ながらあなたの発音は典型的なカタカナ英語の発音になってしまっているので、きちんとした英語の発音を身につけた方がいいでしょう。

はい

日本語と英語の本来の音の違いをなんとなくわかっている人は、きっと上のようには発音しないはずです。

特に発音がきれいな人は、きっと「ふぉーぅ」、「へぅ」、「ふぃぅすぃー」という具合に、”L”の部分の発音が自然と日本語の小さな「ぅ」の発音に近くなるのがわかると思います。

はい、実はこの小さな「ぅ」のように発音するのが”Dark L”の発音なんです。

なるほど、これがきれいな発音ですか

“Dark L”はどんな時にやってくる?

これで”Clear L”と”Dark L”の音の違いについてはわかりましたね。

でも、次に抱く疑問は、「じゃあ、いったいどんな時に”Clear L”で発音してどんな時に”Dark L”の発音にするの?」という疑問だと思います。

はい、気になります

それについてもしっかりルールに沿って説明することができるので一緒に見ていきましょう。

それでは、先ほど見た”Clear L”と”Dark L”の例として挙げた単語をもう一度見てみましょうか。

<”Clear L”の例>

“lucky”「ラッキー」

“color”「色」

“follow”「フォロー」

 

<”Dark L”の例>

“fall”「落ちる」

“hell”「地獄」

“filthy”「汚らわしい」

これらの例を見ただけであなたはそのパターンがわかりますか?もしこれだけでわかったあなたは相当「勘」がいいと思います。

難しいと思いますが、じっくり観察してみてください。

うーん・・・全然わかりません

はい、では答えを教えると、実はそれぞれの例をよくよく観察してみると、”Clear L”の場合は、”L”の後に必ず「母音」(a, e, i, o, u)が来ているのがわかると思います。

一方で、”Dark L”の場合は、”L”の後はそこで単語が終わっているか、もしくは「子音」(母音以外のアルファベット)が来ているのがわかりますね。

おーホントだ!

このように、”Dark L”の音で発音する時のパターンは決まっていて、

  1. “L”または”le”で終わっている
  2. “L”の後に子音が続いている

の2パターンの時に”Dark L”の音になり、発音は日本語の小さな「ぅ」に近い音になるんです。

ココ重要

ただし、”L”の後に”y”が来て”y”で単語が終わっている場合は要注意で、その場合の”L”は”Clear L”の発音になります。というのも、”y”は綴り上では子音の扱いですが、実際の発音は母音に近い発音になることもあるためこのような例外も起こります。

例: “lily”「ユリ」

このような場合には「りりぃー」という風にどちらの”L”も”Clear L”の音になります。

(ちなみに、“schoolyard”「校庭」のように”L”の後に”y”が来ているけどそこで単語が終わっていない場合は、”L”は”Dark L”の音になり、発音は「すくーぅやーど」という具合になります。これは”school”「学校」と”yard”「庭」が意味的に切り離すことができるからですね)

まとめ

はい、ということで”L”と”R”の発音の違いから、”Clear L”と”Dark L”という”L”の2つの異なる発音まで一気に説明してきましたがいかがだったでしょうか?

これまでなんとなく”fall”の発音が「ふぉーる」ではなく「ふぉーぅ」に近いと思っていたけどその理由がわからなかった人や、そもそもはっきり「ふぉーる」と発音していた人も、このルールをきっちり理解すれば、”L”と”R”の発音の違いはもちろんのこと、場合によって異なる”L”の音についてもきちんと区別することができるようになるので、カタカナ英語の発音とはおさらばし英語本来のきれいな発音が身につくはずです。

本当にこれだけでそれっぽい発音になった気がします!

ええ、”L”と”R”の発音の違いについてはよく取り上げられるので知っている人もいたと思いますが、”L”の音の区別については初めて知ったという人も多いと思います。

それでもこれらの違いはきちんとルールが決まっているので、その条件をもう一度おさらいして、それぞれ声に出して何度も練習してみてくださいね。

まとめ

<”L”と”R”の発音の違い>

  • “R”:舌を巻き上げ、舌の先はどこにも触れないように発音する
  • “L”:舌の先は”Alveolar Ridge”に当て、日本語の「ラ行」と同じように発音する

 

<”L”の発音の違いについて>

  • “Clear L”:発音は日本語「ラ行」と同じ
  • “Dark L”:発音は日本語の小さい「ぅ」のイメージ

 

<”Dark L”の発動条件>

  1. “L”で終わっている
  2. “L”の後に子音が続いている

(ただし”L”の後に”y”が来て”y”で単語が終わっている場合は”Clear L”の発音)

ということで今日は日本人が気を付けるべき”L”と”R”の発音について解説しました。なかなかのボリュームでしたね、お疲れ様でした。

ちなみに英語のきれいな発音についてもっと詳しく勉強したいという人は、こちらで英語の「音声学」という専門分野の知識を元にした練習方法を解説しています。日本の中学・高校の英語教育では教えられていない内容ですが、発音改善にはものすごく役立つ知識なので是非チェックしてみてください。

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ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた!