【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語Vol.1

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アメリカのラップミュージックを聴き始めてもうかれこれ20年くらいになる。

最初は純粋にただ音がかっこよくて、歌詞(リリック)の内容なんかわからないけど、とりあえずかっこいい曲をひたすら聴いていた。

そこからだんだん英語に興味を持ち始め、次第にリリックの意味を調べ始めると、「へぇーこんなこと言ってたんだ」とラップ独特のライム(韻)の中で光り輝くストレートで強烈なメッセージに心を打たれ、そこからどんどんラップ、ヒップホップに夢中になっていった。

僕はわりと昔のアメリカのラップミュージックや文化が好きで、今でも暇さえあれば1980年代や90年代前半のアーティストたちのアルバムを聴き漁ったりしているが、やっぱり当時のアメリカのメインストリームを勢いよく駆け上がっている時のラップミュージックの粗削りな感じと圧倒的なパワーがたまらなく好きで、そういった時代の名曲の名パンチラインを夜な夜なヘッドホン越しに聴いては、今でも1人部屋でニヤついたり、何度も頷いたりしている笑

今やもうだいぶ少なくなっているとは思うが、ラップミュージック=「金、女、酒、ドラッグ、犯罪」などとネガテイブなイメージと結びつけて考えてしまう人が未だにいることは事実だし、そういったイメージの蔓延を助長しているアーティストがいるのもこれまた事実。

しかし、ラップミュージックはそれ以上に、大都市のスラム街(ゲトー)に暮らす人々の等身大の苦悩や希望をフィルターを通さずにリアルに写し出し、また人種差別や貧富の差、家庭内暴力などの社会が抱える深刻な問題をライムを通じて「16小節」の中で芸術的に描き出したからこそ、人々の心に大きな穴を開け、脳ミソを吹き飛ばすほどの衝撃を与え、今なお世界中で世代を超えて多くのファンを魅了し続けているんだと思う。

ラップミュージックと出会って約20年が経ち、だいぶ英語力もついて、よくやく「ああ、ものすごいこと言ってんなぁ」とわかるようになってきた今、かつてヒップホップ界の頂点に君臨した先駆者たち(中には今でも頂点に君臨し続けるレジェンドもいる)や、わりと最近のアーティストのリリックの中から、「これはやられたっ!」と思わず唸ってしまうようなエッジが効いてウィットに富んだパンチラインを紹介していくことが僕なりのラップミュージックへの恩返しなのかなと思い、ふとこのコラムを始めてみようと思った。

このシリーズを見て、これまでラップを聞いたことがなかった人がその魅力に気づいてくれたら嬉しいし、また僕のようにラップのリリックから英語学習に興味を持ってくれる人がいたら非常に嬉しい。そんな思いから、これから少しずつ僕のお気に入りパンチラインを紹介していこうと思う。

それじゃあ前置きはこれくらいにして、早速最初のエントリ―を見ていこう―――。

ラップ名曲パンチライン

It’s like a jungle sometimes. It makes me wonder how I keep from going under

-Grandmaster Flash and the Furious Five, “The Message” (1982)

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パンチライン徹底解説

今日のポイント
  • “make+人+動詞”の用法
  • “keep”という動詞の使い方
「ラップで学ぶ英語」シリーズの記念すべき第一回目のパンチラインですね!

このパンチラインはGrandmaster FlashというDJと、Furious Fiveという5人組のMCからなるグループが1982年にリリースした“The Message”という曲の1フレーズで、これは元祖ラップミュージックの名曲と言える作品です。

それまでのラップというと、パーティーやストリートなどで「おれはこんなに金を持ってるぜ」とか「成功してこんなことやあんなことしてるぜ」という内容が多かったけれど、この曲は、大都市(New York)のゲトーに暮らす人々を取り巻く状況と社会の問題に触れた初めてのラップミュージックと言われていて、このパンチラインは瞬く間に全米に知れわたっていきました。

今日はこのパンチラインを、

  1. “It’s like a jungle sometimes”
  2. “It makes me wonder”
  3. “how I keep from going under”

のパートに分けて、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

“It’s like a jungle sometimes”

まず初めの部分ですが、“It’s like~”で「(それは)~みたいだ」という意味になります。これは簡単ですよね。日常会話でも非常によく使う表現です。

この場合の主語の“it”は特にコレといったものを指しているわけではなく、いわゆる形式的な主語といって、「自分を取り巻く環境やこの大都市全体」のことを暗に意味していて、それが「まるでジャングルの様だ」と言っていると捉えられます。

“It makes me wonder”

次に注目したいのは、“make+人+動詞”という表現で、これで「人を~させる」という意味になります。

これは基本的かつ非常によく使われる表現なので是非覚えておきましょう。ここでは「動詞」の部分に”wonder”が来ていますね。

CHECK!

“make+人+動詞”の用法>

  • 「人を~させる」という意味で、動詞の部分には基本的に「原形」が入る
  • また「動詞」だけでなく「形容詞」「名詞」が来ることもある

“wonder”は「~だろうかと思いをめぐらせる」という様な意味なので、ここでは「どうすりゃいいんだろう」と考えさせられている感じですね。

ちなみにここでの“it”は直前に出てきた内容=「まるでジャングルの様だと思っていること」全体を指しています。

“how I keep from going under”

ここでのポイントは、“keep from+「名詞」”という表現です。この形で「~を避ける」=“stay away”と同じような意味になりますが、何を避けるのかというと、ここでは”going under”となっています。

“going”は”go”に“-ing”がついて「動名詞」(~すること)になった形です。なので“going under”で「下にいくこと」とそれ自体が名詞のようになっています。

そしてここでの“going under”の意味はこの大都市の激しい競争の中で「下に沈んでいく=死ぬこと」を表していて、その前に“keep from”があるので、「死ぬこと」から「離れる」となり、それはつまり「死から免れる」というようなニュアンスになります。

なので、この部分全体で「どうやって死から免れるのか」というイメージですね。

CHECK!

“keep”という動詞の使い方>

  • “keep”は「~し続ける」という意味で使う場合、直後の動詞は必ず動名詞(”-ing形”)にする(例:“Keep dancing”「踊り続ける」)
  • “keep from~”の場合は「~を避ける」という意味になり、ここに動詞が来る場合も必ず動名詞にする

まとめ

ということで、ここまで見てきた内容をまとめると、

  1. 「まるでジャングルの様だ」
  2. 「どうすりゃいいんだろう」
  3. 「どうやって死から免れるのか」

という風になり、それらをちょっとわかりやすく整えて、

It’s like a jungle sometimes. It makes me wonder how I keep from going under

 

「このまるでジャングルのような大都会でどうやって生き残っていったらいいのか・・・」

という感じにしてみました。ゲトーライフの絶望感みたいなのが溢れていますね笑

もう一度言いますが、この曲はラップミュージックが世界に広がるきっかけとなった歴史的に非常に重要な曲です。コレ無しにはヒップホップは語れないと思ったので、当コラムの記念すべき第一弾のパンチラインに選ばせていただきました。

このリアルなメッセージというのが真のラップミュージックなんですね!

また、曲の続きをちょろっと紹介すると、

Broken glass everywhere

(どこもかしこも割れたガラスの破片ばかり)

 

People pissing on the stairs, you know they just don’t care

(みんな階段でションベンしても誰も気にしない)

 

I can’t take the smell, can’t take the noise

(臭いも我慢できねぇし、騒音もたまったもんじゃない)

 

Got no money to move out, I guess I got no choice

(でも金がなくて引っ越すこともできないからしょうがない)

 

Rats in the front room, roaches in the back

(ドブネズミが部屋にいれば、別の部屋にはゴキ〇〇がいるし)

 

Junkies in the alley with a baseball bat

(廊下には野球のバットを振り回してるヤク中野郎もいる)

 

I tried to get away but I couldn’t get far

(どっか遠くへ逃げようと思ったけど遠くまでは行けなかった)

 

‘Cause a man with a tow truck repossessed my car

(なぜならレッカー車の野郎がおれの車を回収しちまったから)

とこんな感じになっています。なかなか悲惨な状況ですね。

・・・散々ですね笑

でも、これが1980年代のアメリカにおける大都市のゲトーのリアルな状況だったんですね。ちなみに今でもニューヨークのマンハッタンの中にあるイーストハーレム地区に行けば、当時の低所得者層向け集合住宅(”Project”)が残っていて、当時の雰囲気を少なからず感じることができます。

実際はニューヨークに限らずどの大都市でも、貧困はいまだに大きな社会問題となっています。

曲はこちらから聞けるので良かったらチェックしてみてください(該当部分は0:24辺りからです)

また、これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「かっこいいラップを聞きながら楽しく英語を勉強をしたい!」と思った人はGrandmaster Flashのヒップホップ史に残るこちらの作品も是非チェックしてみてくださいね。


はい。というわけで第一回目の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?

今回のような、社会の深刻な問題や弱者のメッセージを音楽に乗せて世界に発信することに成功したのがラップミュージックで、僕はそのメッセージの力強さとストレートさが本当に大好きです。

これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、みなさんの英語学習の助けになれれば光栄です。

よかったら次のエピソードもこちらからチェックしてみてくださいね。

microphone【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語Vol.2「Big Pun編」

 それではまた!