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ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.17「Wu-Tang Clan編」

僕がラップミュージックに出会ったのは小学校6年生の時だ。

当時よく行っていた地元のレンタルCDショップで、何を間違えたのか洋楽セクションに迷い込んでしまい、そこで何も分からずたまたま手に取ったCD(The Rootsの“Things Fall Apart”)を借りて家で聞いた時の衝撃は今でも覚えている。

このシリーズでは、約20年間ラップミュージックを聞き続けた僕が自分の大好きな曲の中から、「これは面白い!」と思ったフレーズや、英語の勉強になると思った歌詞を厳選してお届けし、一人でも多くの人にラップミュージックの魅力を知ってもらうと共に、音楽を聞きながら英語を勉強する楽しさを感じてもらえたらと思う。

それじゃ、早速今日のエントリーを見ていこう―――。

今日の名曲パンチライン

“Put the needle to the groove, I gets rude and I’m forced to f*ck it up, my style carries like a pick-up truck”

-Inspectah Deck, “Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing ta F’ Wit” (1993)

パンチライン徹底解説

今日のポイント
  • “double entendre”(ダブルエンテンダー)
  • “f*ck it up”という表現

今日のパンチラインはニューヨーク出身の伝説のラップ軍団ウータン・クラン(Wu-Tang Cran)のデビューアルバム“Enter the Wu-Tang (36 Chambers)”(1993)に収録されている“Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing ta F’ Wit”という曲からの1フレーズで、メンバーの一人のInspectah Deckがのっけから勢いのあるラップを披露しています。

今日はこのパンチラインを、

  1. “Put the needle to the groove”
  2. “I gets rude and I’m forced to f*ck it up”
  3. “my style carries like a pick-up truck”

の3つのパートに分けて解説していきたいと思います。

それでは早速見ていきましょう。

“Put the needle to the groove”

まずは最初のパートですが、“needle”は「針」、“groove”は「グルーヴ」を指します。

この“groove”という言葉は元は「レコードの溝」という意味なんですが、そこから「ジャズやソウルなどの黒人音楽の独特のリズム(=グルーヴ)」という意味が生まれました。

なのでここではシンプルに「レコードに針を置く」という感じにしておきましょう。

そして、実はこのラインは別な解釈もできて、“needle”を「(薬物に使う)注射針」、“groove”を「楽しい時間」という意味で捉えると、「仲間との楽しい時間にドラッグを使用する」という風に解釈することもできます。

CHECK!

“double entendre”(ダブルエンテンダー)>

  • 同じ言葉で2つの意味(1つはだいたい性的な意味やタブー関連)に取れてしまう言葉のこと。

ここではInspectah Deckの言葉遊びのセンスが光っています。

“I gets rude and I’m forced to f*ck it up”

次に“rude”は「無礼な」という意味ですが、ここでは「なりふり構わない」という感じがピッタリです。また主語が“I”なのに動詞(“get”)に三人称単数の“-s”が付いていますが、これは間違いではなくスラングによく見られる表現です。

そして“be forced to~”は「強制的に~させられる」で、“f*ck it up”は「めちゃくちゃにする」という意味なので、この部分は「なりふり構わず必ずめちゃくちゃにする」という感じでいいでしょう。

CHECK!

“f*ck it up”という表現>

  • ちなみにこの“f*ck it up”という表現は通常「台無しにする」というネガティブな意味で使われることが多いですが、場合によっては「めちゃくちゃに盛り上げる」というニュアンスになることもあります。(「良くも悪くもとにかく思いっきりぶちかます」という感じですね)

なのでここでも、「なりふり構わずめちゃくちゃに盛り上げる」という意味と、「(ドラッグの影響で)荒々しくなって最終的に場をめちゃくちゃにしてしまう」という2つの意味でとることができます。

“my style carries like a pick-up truck”

そして最後の部分については、“pick-up truck”は「ピックアップトラック(=後ろに荷台のついた乗用車)」のことなので、「おれのスタイルはピックアップトラックのように運んでいく」という感じになります。

ピックアップトラック

何を運ぶのかというのは文脈的に「グルーブ」や「エネルギー」という解釈でいいでしょう。

まとめ

ということでここまでのパートをくっつけてみると、

  1. 「レコードに針を置く」
  2. 「なりふり構わず必ずめちゃくちゃにする」
  3. 「おれのスタイルはピックアップトラックのように運んでいく」

となるので、少しだけいじって、

“Put the needle to the groove, I gets rude and I’m forced to f*ck it up, my style carries like a pick-up truck”

「レコードに針を落とせばなりふり構わずめちゃくちゃ盛り上げるぜ、おれのスタイルはまるでこのグルーブをどこまでも運ぶピックアップトラックさ」

という風に訳してみました。

直前のRzaというメンバーの1stバースからマイクを受け取って勢いよく飛び出すInspectah Deckのこのパンチラインは超かっこよくて、僕的には聞く度にめちゃくちゃ興奮します笑

ちなみにこのパンチラインは上で説明したそれぞれのパートのもう一つの意味で考えると、

“Put the needle to the groove, I gets rude and I’m forced to f*ck it up, my style carries like a pick-up truck”

「最高の状態でお薬を注入すれば、おれは荒々しくエネルギーを振りまくピックアップトラックのように会場をめちゃくちゃにするぜ」

という風にも解釈することができますね。

どちらにせよInspectah Deckの鼻息荒く気合十分な様子が伝わってきます。

曲はこちらで聞けるのでよかったらチェックしてみてください(該当部分は0:43辺りからです)

ちなみに、この“Enter the Wu-Tang (36 Chambers)”というアルバムは、ウータン・クランのデビューアルバムにしてその名を世界に轟かせる超衝撃的なヒットを記録した名盤中の名盤です。これを聞かずしてはウータン・クランを、いやヒップホップを語ることはできないので、これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽から日常で使える表現を学びたい!」と思った人は是非チェックしてみてくださいね。

またデビューから25年以上経った今でもヒップホップ界の最前線で活躍し続ける超ヤバすぎる集団ウータン・クランについてはこちらの記事でも取り上げているのでもし良かったらどうぞ。きっとあなたもウータン・クランが好きになるはずです笑

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はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。

前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。

<前のエピソード>

ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.16「Scarface編」

<次のエピソード>

ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.18「Big K.R.I.T.編」

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それではまた!