アメリカのラップミュージックを聴き始めてもうかれこれ20年くらいになる。
昔のものからわりと最近のものまでいろいろ聴いているが、いまだにストレートで強烈なメッセージやユニークでウィットに富んだリリック(歌詞)を見つける度に1人でニヤリとしたり、何度も頷いたりしている。
このシリーズでは、普段ラップをあまり聞かない人がラップミュージックの魅力に気づいてくれたり、また自分のようにラップのリリックから英語に興味を持ってくれる人がいたら嬉しい、という思いから、ヒップホップ界のレジェンドや、今アツいアーティストたちのリリックの中から、「これはやられたっ!」と思わず唸ってしまうようなエッジが効いてオリジナリティが溢れるパンチラインを紹介していこうと思う。
それじゃ、早速今日のエントリ―を見ていこう―――。
今日の名曲パンチライン
“Yo, you can find me up inside a whore. Making her legs go up like Ferrari doors”
-Redman, “Dangerous MCees” (2009)
パンチライン徹底解説
- “make+人(物)+動詞の原形”というフレーズ
- ニヤリとさせられる比喩表現
今日は、名前も場所もニューヨーク、マンハッタンにほど近いニュージャージー州はニューアーク出身のラッパーRedmanのパンチラインに注目したいと思います。
このパンチラインはRedmanとその朋友Method Manという二人のコラボアルバム“Blackout! 2” (2009)に収録されている“Dangerous MCees”という曲からの一節です。
ここではパンチラインを、
- “Yo, you can find me up inside a whore”
- “Making her legs go up like Ferrari doors”
の2つのパートに分けて解説していきたいと思います。
“Yo, you can find me up inside a whore”
“you can find me”は「私を見つけることができる」でいいですね。
ここでの“up”は「上に」ではなく「近くに」というニュアンスで使われています。
“up”や他の前置詞(“to”、“for”、“on”など)には本当にたくさんの意味があり、英語を第二言語として学ぶ者にとって前置詞のニュアンスを捉えることは簡単なことではありません。
辞書で見て一気に覚えられるものでもないので、「こんなニュアンスもあるんだ」と認識する程度で、あとは実際にたくさん英語と触れることで徐々にいろんな意味に慣れていくのがベストでしょう。
“whore”というのは本来「売春婦」のことで、“inside a whore”なので「売春婦の中に入っている状態」、つまり「セックスをしている」という風に解釈できますが、ここでは必ずしも売春婦だけに限定せず、もっと広く「オンナ」というニュアンスで捉え、「オンナの中を見ればおれを見つけられるよ」という感じにしておきましょう。
RedmanとMethod Manは女性からもとても人気があり、「ラップ界のセックスシンボル」として世界中で愛されています。
“Making her legs go up like Ferrari doors”
<“make+人(物)+動詞の原形”というフレーズ>
- “make+人(物)+動詞の原形”で「人(物)を~させる」という表現は日常会話でも非常に良く使われるフレーズなので必ず覚えておきましょう。”make”の直後の目的語の部分には「人」や「物」が入りますが、必ずしも1語とは限らず、何語か連なった「句」が来ることもあるので注意が必要です。
ここでは“making”と“-ing形”になっているので「~させている」という風になりますね。
また、ここでは“her legs”「彼女の脚」が(物)の部分にあたり、それが“go up”「上に行く」となっているので、「彼女の脚を上に上げている」となります。
「彼女」というのは言うまでもなく直前の「オンナ」のことを指していますね。
そしてその後に“like Ferrari doors”なので「フェラーリのドアのように」という説明が付け足されています。
英語の日常会話ではこの”like~”「~みたいに」という表現が本当によく使われます。
ここでは「女性の脚をフェラーリのドアのように上に上げている」と絶妙な「例え」を使っていて、聞き手を思わずニヤリとさせてしまいますよね。
画像引用元
<ニヤリとさせられる比喩表現>
- この“like~”はものすごく簡単な言い回しですが、話し手の発想や目の付け所次第でいくらでも聞き手を引き込むことのできる「比喩表現」のテクニックです。英語力というよりはアイデアがものをいう表現ですが、自然な会話の中でタイミングよく”like~”と言えるように是非マスターしておきたいフレーズですね。
まとめ
ということで、これらのラインを並べてみると、
- 「オンナの中を見ればおれを見つけられるよ」
- 「女性の脚をフェラーリのドアのように上に上げている」
となるので、少しニュアンスを整えて、
“Yo, you can find me up inside a whore. Making her legs go up like Ferrari doors”
「おれを見つけたけりゃオンナのいるところを探しな。まるでフェラーリのドアみたいに奴らの脚を持ち上げてるぜ」
という風にしてみました。まさにセックスシンボルですね笑
ちなみにRedmanは直後の歌詞でも、
“I’m naughty like Tommy Boy”
「おれはTommy Boy(アメリカのコメディー映画)みたいにやらしいぜ」
“Go back like Atari cords”
「Atari(アメリカのゲーム会社)のケーブルみたいにオールドスクールで」
“I’m fresh like Bel-Air”
「Bel-Air(ロサンゼルスの高級住宅街、もしくは”Chevrolet”(シボレー)の同名の車)みたいにフレッシュだぜ」
という風に絶妙な”like~”を披露しまくっています。
曲はこちらで聞けるのでよかったらチェックしてみてください(該当部分は0:20辺りからです)
https://youtu.be/vFigaEm_Wfg
ちなみに、この“Blackout! 2”というアルバムは、1999年にリリースされたこれまたMethod Manとのコラボアルバム“Blackout!”の第二作で、どちらの作品でもRedmanとMethod Manの2人のMCによる息の合ったラップが聞けてめちゃくちゃかっこいいので、これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽から日常で使える表現を学びたい!」と思った人は是非チェックしてみてくださいね。
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はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。
前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。
<前のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.9「Nas編」
<次のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.11「Bishop Lamont編」
また、第1回から見てみたい!という方がいましたらこちらからチェックしてみてください。
それではまた!