アメリカのラップミュージックを聴き始めてもうかれこれ20年くらいになる。
昔のものからわりと最近のものまでいろいろ聴いているが、いまだにストレートで強烈なメッセージやユニークでウィットに富んだリリック(歌詞)を見つける度に1人でニヤリとしたり、何度も頷いたりしている。
このシリーズでは、普段ラップをあまり聞かない人がラップミュージックの魅力に気づいてくれたり、また自分のようにラップのリリックから英語に興味を持ってくれる人がいたら嬉しい、という思いから、ヒップホップ界のレジェンドや、今アツいアーティストたちのリリックの中から、「これはやられたっ!」と思わず唸ってしまうようなエッジが効いてオリジナリティが溢れるパンチラインを紹介していこうと思う。
それじゃ、早速今日のエントリ―を見ていこう―――。
今日の名曲パンチライン
“I’m not a businessman, I’m a business, man”
-Jay-Z, “Diamonds From Sierra Leone (Remix)” (2005)
パンチライン徹底解説
- 似ているようで実は微妙にニュアンスが違う表現
こちらは2005年にリリースされたKanye Westの2ndアルバム“Late Registration”に収録されている“Diamonds From Sierra Leone (Remix)”という曲の中の一節です。
そしてこのパンチラインの発言者は、史上最も成功したミュージシャン(ラッパーではなく「全ミュージシャン」)の一人で、Def Jam Recordings社元社長&Roc-A-Fella Records社創始者の一人でもあり、世界的な歌手・女優であるBeyoncé(ビヨンセ)を妻に持つヒップホップ界のドン、Shawn Carter(ショーン・カーター)ことJay-Zさんです。
ラップ好きなら当然のこと、ラップにあまり興味がない人でもその名を聞いたことがある人はかなりいると思います。
ちなみにこの2人には数々のハンパないエピソードがあって、
- Jay-Zの総資産額は約1千億円近い(!?)と言われていて、妻Beyoncéの資産も合わせると2人で軽く1,200~1,300億円ある笑
- Jay-ZはBeyoncéに約5億円(!?)の婚約指輪をプレゼントした笑
- BeyoncéはJay-Zに父の日のプレゼントとしてプライベートジェットをプレゼントした笑
とのことです笑
Beyonce and Jay-Z
ということで、今日はこのシンプルだけどトリックがあって面白いパンチラインを、
- “I’m not a businessman”
- “I’m a business, man”
に分けてそれぞれ解説していきたいと思います。
“I’m not a business man”
まずは最初の部分なんですが、これは特に説明は要らないでしょう。「私はビジネスマンではありません」そのままです。
英語には「サラリーマン」(”salary man”=×)という言葉はなく、この“business man”かもしくは“office worker”などと言う場合が多いです。
“I’m a business, man”
そして、残りの部分ですがこれも簡単で、「私はビジネスだぜ」ですね。
最後にくっついている”man”は「・・だぜ」くらいのイメージでいいと思います。
まとめ
なので、2つを繋げると、「私はビジネスではありません」+「私はビジネスだぜ」となり、
“I’m not a businessman, I’m a business, man”
「おれはビジネスマンじゃねえ、「おれ」がビジネスだ」
という感じになります。めちゃくちゃ簡単でしたね笑。
それにしてもJay-ZとBeyoncé、恐るべし。
言わずもがなですが、このラインの面白いところは一見同じフレーズを2回繰り返しているように見えるけど、後半は “business” と “man” で切り離すことによって別のニュアンスにしているという言葉遊びですね。
似たような発言もチェック
ちなみに、Jay-Zはとあるインタビューで、
“We were never a celebrity couple — we were a couple that happened to be celebrities.”
「おれたちはセレブのカップルではない―――おれたちは普通のカップルでたまたまセレブだっただけだ」
とも言っています。これも語順を少し入れ替えることで意味を微妙に変化させるトリックを使った発言ですね。
まあどちらにせよセレブという意味ではほぼ一緒かと思いますが笑
こういう「一見同じこと言ってる?と思わせ、実は反対のことを言っていた」みたいなトリックは、ただ単に面白いだけでなく、発言を強調するうえでもかなり効果があります。
普段会話をしている最中ではなかなかすぐに思いつかないかもしれませんが、例えば英語でスピーチやプレゼンをする際などにはこういう表現が使えるようになると印象的で相手の心に響く話ができるようになりそうですね。
<似ているようで実は微妙にニュアンスが違う表現>
- 相手に一瞬考えさせる時間を与えるので、強調表現としても効果的
- スピーチやプレゼンで活用すれば印象付けをしやすい
ということで今日はJay-Zさんの「ふさわしすぎる超大物発言」を紹介しました。
ちなみに僕は現在“I’m not a business, man, I’m a business man”(おれはビジネスなんかじゃねえ。ただのビジネスマンだ)ですが、これを機に「ビジネス」になれるように頑張ろうと思います笑
もしこれを機にラップに興味が出てきて、僕のように「洋楽を聞きながら楽しく英語を勉強をしたい!」と思った人はこの曲が収録されているKanye Westの2ndアルバム“Late Registration”やJay-Zの代表作“Reasonable Doubt”、“Blueprint”なども是非チェックしてみてくださいね。
はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。
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それではまた!