【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.3「Bushwick Bill編」

boonbox

アメリカのラップミュージックを聴き始めてもうかれこれ20年くらいになる。

昔のものからわりと最近のものまでいろいろ聴いているが、いまだにストレートで強烈なメッセージやユニークでウィットに富んだリリック(歌詞)を見つける度に1人でニヤリとしたり、何度も頷いたりしている。

このシリーズでは、普段ラップをあまり聞かない人がラップミュージックの魅力に気づいてくれたり、また自分のようにラップのリリックから英語に興味を持ってくれる人がいたら嬉しい、という思いから、ヒップホップ界のレジェンドや、今アツいアーティストたちのリリックの中から、「これはやられたっ!」と思わず唸ってしまうようなエッジが効いてオリジナリティが溢れるパンチラインを紹介していこうと思う。

それじゃ、早速今日のエントリ―を見ていこう―――。

ラップ名曲パンチライン

There’s three types people in the world: Those who don’t know what happened.  Those who wonder what happened.  And people like us from the street, that make things happen!

-Bushwick Bill, “Stranded on  Death Row” (1992)

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パンチライン徹底解説

今日のポイント
  • “those who~”の使い方
  • 関係代名詞の”that”の用法

今日は僕が初めて聞いた時にかっこよすぎて鳥肌が立った力強いパンチラインです笑

このフレーズはロサンゼルスのコンプトン出身のラッパー/プロデューサーであるDr. Dre“The Chronic”というアルバムに収録されている“Stranded on Death Row”という曲のアウトロの部分で流れています。

そしてこのセリフを言っているのは実はDr. Dre本人ではなく、Bushwick Billというラッパーで、Geto Boysという3人組のラップグループのメンバーの一人です。

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Bushwick Bill(中央)

今回のパンチラインは“There’s three types of people in the world”(世の中には3つのタイプの人間がいる)から始まって、それぞれのタイプについて言及しています。

徹底解説ではこの3種類の人々、

  1. “Those who don’t know what happened”
  2. “Those who wonder what happened”
  3. “people like us from the street, that make things happen!”

それぞれについて文法的に解きほぐしながら解説していこうと思います。

冒頭:”There’s three types of people in the world”

まずはすでに上で見た冒頭部分の“There’s (There is) three types of people in the world”(世の中には3つのタイプの人間がいる)についてですが、“three types”「3種類」と複数形になっているので、文法的には直前のbe動詞は“is”ではなく本来”There are“と複数形になるべきですが、このbe動詞の単数/複数形の混同というのはとりわけ黒人英語においてはよく起こります。

一応確認程度に押さえておきましょう。(黒人英語の特徴について詳しく知りたい方はこちらで徹底的にまとめています)

完全版!超マニアックな黒人英語の発音や文法の特徴を総まとめ

タイプ1:”Those who don’t know what happened”

それでは1つ目のタイプの人々を見てみましょう。

“Those”「それら」は”That”「それ」の複数形ですが、“Those (people)”「それらの人々」という具合に本来あるべき”people”を省略して不特定の「人々」を表す時にも使われます。

また、“those who+動詞”という形で使われることも非常に多く、この場合は「~する不特定の人々」という意味になります。

CHECK!

“those who+動詞”の使い方>

  • 「~する不特定の人々」という日常英会話でもかなりよく使われる表現

ここでは”those who”の後が“don’t know what happened”となっているので、「何が起きたのか知らない人々」という風になります。

これがタイプ1の人々ですね。

ちょっと鈍い人たちという感じですかね

タイプ2:”Those who wonder what happened”

続いてタイプ2を見てみましょう。

“Those who wonder what happened”なので形はタイプ1とほぼ一緒で、“don’t know”の部分が“wonder”になっているだけですね。

“wonder”というのは「〜について思いをめぐらす」というような意味なので、“what happened”が続き、「何が起こったか思いをめぐらす」という感じになります。

なのでタイプ2は、「何が起こったか知らない」タイプ1に対し、「何かが起こったことには気づき、それについていろいろと思いをめぐらす人々」という感じになります。

タイプ1よりはかなり反応が良い人たちですね

タイプ3:”People like us from the street, that make things happen!”

そして最後のタイプ3ですが、こちらは文の形が前のタイプ1とタイプ2とはすっかり変わっていますね。

しかし実際は“people”という部分がタイプ1とタイプ2での“those”という単語と対になっていて、それが後からくる“like us from the street”によって修飾され「おれたちのようなストリート出身の人々」という感じになります。

そしてその後の“that”ですが、これは関係代名詞の”that”といって、直前の名詞(句)を”that”以降の文で修飾(説明)する時に使われる非常に重要な用法の1つです。

CHECK!

関係代名詞の”that”の用法>

  • 関係代名詞の”that”は直前の名詞(句)を”that”以降で修飾(説明)するが、この際”that”は日本語には訳さない

この場合は”that”以降が修飾しているのは直前の”street”だけではなく、“People like us from the street”という名詞句全体となっています。

なので、”that”以降の“make things happen”「物事を起こす/始める」がその前の部分全体にかかり、ここ全体で「おれたちみたいなストリート出身で物事を引き起こす人々」という感じになります。

まとめ

ということで、ここでこれまで見てきたタイプ1〜タイプ3を並べてみましょう。

  1. タイプ1:「何が起きたのか知らない人々」
  2. タイプ2:「何が起きたのか思いをめぐらす人々」
  3. タイプ3:「おれたちみたいなストリート出身で物事を引き起こす人々」

こんな感じになりますね。

そこに冒頭の「世の中には3つのタイプの人間がいる」がついているので、これらを全部まとめて、

There’s three types people in the world: Those who don’t know what happened.  Those who wonder what happened.  And people like us from the street, that make things happen!

 

「世の中には3つのタイプの人間がいる:何が起きたのかすら知らない奴ら。何が起きたのか思いをめぐらす奴ら。そしておれたちみたいなストリートで実際に物事を起こす奴らだ」

という感じにしてみました。

おー、かっこいいですね!

全体的に見ると、タイプ1とタイプ2が「受け身の人々」であるのに対し、タイプ3は実際に「発信する側の人々」になっていることがわかりますね。

このような「対比」は、重要な部分を一層際立たせることができるかっこいい表現方法です。自分の言いたいことを強調したい時には非常に使える表現なので是非覚えておきましょう。

いやしかしこういうセリフを聞くと、「おれは必ずタイプ3の人間になってやるぜ」という熱い思いがこみ上げてきますね笑

少なくとも「タイプ1」にはなりたくないです

ということであなたもタイプ3を目指して頑張っていきましょう!

曲は良かったらこちらからチェックしてみてください(該当箇所は4:18辺りからです)

ちなみに、この“The Chronic”というアルバムの製作者であるDr. Dreは、アメリカの西海岸を代表するアーティストにしてHip Hop界のベストプロデューサーの一人です。

一作目の“The Chronic” (1996)は大ヒットを記録し、次作の“Chronic 2001” (1999)も超特大ヒット、そして多くのファンに待ち望まれた第三作“Compton” (2015)はそこからなんと16年後の2015年にリリースされていますが、これまた非常に高い評価を得ています。

同時にDr. Dreは数々のアーティストの曲も手がけていて、「Dr. Dreがプロデュースした曲は必ずヒットする」と言われているほどのまさに天才で、僕自身も大好きなアーティストの一人です。これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽を聞きながら楽しく英語を勉強をしたい!」と思った人は是非チェックしてみてくださいね。


はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。

前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。

<前のエピソード>

microphone【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.2「Big Pun編」

<次のエピソード>

graffiti【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.4「Big L編」

また、第1回から見てみたい!という方がいましたらこちらからチェックしてみてください。 

cassette 【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.1

それではまた!