こんにちは!通訳/ストリート英会話講師のbigtree(@bigtree1000)です。
(15年の努力の結晶。「誰にも知られず密かにペラペラになれる独学勉強法」はこちら)
あなたは英語にはたくさんの種類があるのを知っていますか?
こう言われると「えっ?」と思ってしまうかもしれませんが、普段意識していないだけでその違いは実は誰もが感じていることです。
英語の種類というのは、例えばわかりやすい例で言うと「アメリカ英語」と「イギリス英語」みたいなもので、この2つは発音から使われる単語まで大きく異なるのはご存知の通りです。
また、インド人やアラブ系の人たちはいわゆる巻き舌で、我々日本人にとっては非常に聞き取りづらい特徴的な話し方をしますよね。
そういう私たち日本人だって、典型的な日本人の発音があり、これもいわば「日本人英語」という英語の種類の1つとしてカウントすることができます。
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さらには、同じ国、同じ地域で生活している人々の中でも、人種(例えば白人vs黒人)や職業(ウォール街のビジネスマンvsストリップクラブのボディガード)などの違いによって、使われる単語や文法の構造が異なってきます。
このように、同じアルファベットを用い、同じ言語を話しているにも関わらず、英語には地域や民族や社会的階層の違いによってさまざまな種類が生まれ、この違いが時にコミュニケーションの障壁となっているんですね。
なので逆にこれらの英語の特徴をよく理解し、さまざまな種類の英語に慣れることができれば、あなたのコミュニケーションスキルは間違いなく大幅にアップするでしょう。
ということで、今日のトピックはそんな数ある英語の種類の中でも非常にユニークな「アメリカの黒人が話す英語の特徴」についてです。
しかも、ただの黒人ではなく、「都会の中流階級や低所得者層の黒人が話すスラング英語の特徴」です。
主に都会の中流階級や低所得者層の黒人が話すカジュアルな英語の種類のことを正式な用語で、African American Vernacular English (AAVE)、またはBlack Vernacular、もしくはEbonics(少し差別的なニュアンスもある)という風に言います。
これらの特徴についてしっかりとまとめられているサイトがあまり見つからなかったので、良い機会なので黒人英語の超マニアックな部分までを完全網羅した「あるあるまとめ」を作ってみることにしました。
黒人英語が聞き取りづらいと思っている人や、黒人俳優やアーティストみたいにリズミカルに話せたら素敵だなと思っている人の参考になれば幸いです。
それでは少し前置きが長くなってしまいましたが、早速黒人英語の超マニアックな世界を覗いてみましょう。
黒人英語の特徴:発音編
まずは、黒人英語が黒人英語として認識されるようになった1番の理由であると言っても言い過ぎでないそのユニークな発音の特徴について見ていきましょう。
- 「」内は英語の読み方を便宜上ひらがなで表現したものですが、そもそも英語のアルファベットと日本語の仮名の発音は異なるので、あくまでもイメージとして参考にしてください。(太字はアクセントを表しています)
- ここで出てくる「母音」とは単語の綴りにおける“a, e, i, o, u”、「子音」とはその他のアルファベットのことを指しています。
それでは行きましょう。
“ask”を「あくす」と発音しがち
ポイント黒人英語では、単語の最後が“s”を含む子音の塊の時、“s”とその他の子音の発音が逆になる場合があります。
次のような単語でその現象が見られます。
<例>
“ask”
標準英語:「あすく」
黒人英語:「あくす」
“grasp”(つかむ)
標準英語:「ぐらすぷ」
黒人英語:「ぐらぷす」
“gasp”(あえぐ)
標準英語:「ぎゃすぷ」
黒人英語:「ぎゃぷす」
“wasp”(スズメバチ)
標準英語:「わすぷ」
黒人英語:「わぷす」
“-th”の発音が”f”や”v”になりがち
ポイント単語の途中や単語の最後に“th”が来る場合、“th”の部分の発音が、/θ/(無声音)の場合は[f]に、/ð/(有声音)の場合は[v]になります。
この現象のことを“th-fronting”(歯音前進)といいます。
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※本来”th”の音は「無声音」の場合でも「有声音」の場合でも舌の先を上の前歯に軽く当てて発音しますが、“th-fronting”が起こった場合は下唇を上の前歯に軽く当てて発音します。
<例>
【無声音】
“mouth”「まうふ」
“tooth”「とぅーふ」
“nothing”「なっふぃんぐ」
【有声音】
“with”「うぃゔ」
“without”「うぃゔぁうと」
“brother”「ぶらゔぁ」
単語の先頭の”th”の発音が”t”や”d”っぽくなりがち
ポイント“th”は舌の先を上下の歯で軽く噛み、空気を若干逃しながら“thhh…..”と発音しますが、黒人英語においては単語の先頭に”th”が来る場合は、舌の先を上下の歯でしっかりと固定して完全に空気の流れをストップさせ、無声音の時は“t”、有声音の時は“d”の音でそれぞれ発音します。
<例>
【無声音】
“thick and thin”「てぃっけんてぃん」
*thick and thin=良い時も悪い時も
“thong”「とぉんぐ」
*thong=Tバック
【有声音】
“then”「でん」
“pin”と”pen”の発音が一緒になりがち
ポイント“pin”という単語の/ɪ/や、“pen”という単語の/ɛ/のように、/ɪ/と/ɛ/の後に鼻音の子音(m, nなど)が来る場合、黒人英語ではそれぞれの/ɪ/と/ɛ/の音は [ɪ~ɪə]の範囲で同じ発音になります。
<例>
【黒人英語では次の2つの文は同じ発音】
“I bought a pin”
(私はピンを買った)
“I bought a pen”
(私はペンを買った)
“feel”と”fill”や、”poor”と”pour”の発音が一緒になりがち
ポイント黒人英語では、/ɪ/と/iː/の発音(”fill”と”feel”など)や、/ʊər/と/ɔːr/の発音(”poor”と”pour”など)の後に流音の子音(”l”や”r”)が続く場合は、それらの発音の違いがなくなり、同一の発音になります。
<例>
【/ɪ/と/iː/】
“fill”(満たす)と“feel”(感じる)
標準英語:「ふぃぅ」と「ふぃぃぅ」
黒人英語:どちらも「ふぃぃぅ」
【/ʊər/と/ɔːr/】
“poor”(貧しい)と“pour”(注ぐ)
標準英語:「ぷぅぁ」と「ぽぉぁ」
黒人英語:どちらも「ぽぉ」
語尾の子音を発音しなくなりがち
ポイント黒人英語では、語尾の2つ以上の子音の塊が「共に無声音」または「共に有声音」だった時に、後ろの方の子音を発音しない場合があります。
<例>
“test”
標準英語:「てすと」
黒人英語:「てす」
(”s”と”t”は共に「無声音」のため、後ろの”t”が発音されなくなる)
“bond”(縄/ひも)
標準英語:「ぼんど」
黒人英語:「ぼん」
(”n”と”d”は共に「有声音」のため、後ろの”d”が発音されなくなる)
また、そのような単語が複数形になった場合の発音も、子音の塊の後ろの方の子音は発音しません。
<例>
“tests”
標準英語:「てすつ」
黒人英語:「てすす」
(”s”と”t”は共に「無声音」のため、複数形の”-s”がついた場合でも後ろの”t”が発音されなくなる)
“bonds”(縄/ひも」)
標準英語:「ぼんず」
黒人英語:「ぼんず」
(”n”と”d”は共に「有声音」のため、複数形の”-s”がついた場合でも後ろの”d”が発音されなくなる)
また、この現象は語尾が“-sp, -st, -sk”で終わる単語において顕著に現れる傾向にあります。
<例>
“hasp”(留め金)
標準英語:「はすぷ」
黒人英語:「はす」
“fast”(速い)
標準英語:「ふぁーすと」
黒人英語:「ふぁーす」
“desk”(デスク)
標準英語:「ですく」
黒人英語:「です」
「あい」の音が「あー」になりがち
ポイント/aɪ/(あい)という発音記号の次に有声音の子音(b, d, g, zなど)が来る場合には“glide deletion”という現象が起き、発音が [aː](あー)に変わることがあります。
ちなみに次が無声音の子音(p, t, k, sなど)の場合はそのまま/aɪ/(あい)と発音されます。
<例>
“ride”(乗る)
標準英語:「ぅらいど」
黒人英語:「ぅらーど」
※“right”という単語には/aɪ/(あい)という発音記号がつきますが、その次が「無声音」の”t”なので「ぅらーと」とはならずに「ぅらいと」という風になります。
「い」に余計な音がつきがち
ポイント黒人英語(特にアメリカ南部)では、/ɪ/「い」という単純な1つの母音の発音が/iə/「いぁ」という二重母音に変化することがしばしばあります。
この現象のことを“full gliding”または“diphthongization”(二重母音化)と呼びます。
<例>
“win”(勝つ)
標準英語:「うぃん」
黒人英語:「うぃぁん」
“digit”(桁)
標準英語:「でぃじっと」
黒人英語:「でぃぁじぁっと」
1つ目の音節を強調しがち
ポイント標準英語では2つ目の音節が強調して発音される名詞が、黒人英語では1つ目の音節にストレス(強調)を置く場合があります。
<例>
“police”
標準英語:「ぽりぃす」
黒人英語:「ぽぉりぃす」
“hotel”
標準英語:「ほてぅ」
黒人英語:「ほぉてぅ」
“guitar”(ギター)
標準英語:「ぎたぁ」
黒人英語:「ぎったぁ」
曜日の発音が「でぃー」になりがち
ポイント黒人英語では月曜から日曜までの曜日を発音する際、“day”の部分を「でい」ではなく「でぃー」と発音します。
“yesterday”や“someday”についても「でぃー」と発音する人もいますが、“today”に関しては「とぅでい」と発音されます。
<例>
“Monday”
標準英語:「まんでい」
黒人英語:「まんでぃー」
“Sunday”
標準英語:「さんでい」
黒人英語:「さんでぃー」
黒人英語の特徴:文法編
続いて、黒人英語において特によく見られる文法上の特徴について一緒に見ていきましょう。
時制を無視しがち
ポイント黒人英語の文法上の最も大きな特徴の1つとして、独特の時制の表現が挙げられます。
標準英語において「過去」を表す表現は「過去形」と「過去分詞形」の2種類があるのに対し、黒人英語では4つの「過去」を表す表現が存在します。
また、「現在」を表す表現では標準英語では使うことのない「be動詞の原形」を使って表現します。
さらに、「未来」を表す表現についても、「現在」からのそのアクションの「距離」によって、3つの異なる「未来表現」を使い分けています。
<例>
【4つの「過去形」】
“I been got it”
(かなり前にそれを手に入れた)
※”been”+「過去形」でかなり前に動作が完了したという表現になります。
“I done get it”
(ちょっと前にそれを手に入れた)
※”done”+「原形」でちょっと前に動作が完了したという表現になります。
“I did get it”
(つい最近それを手に入れた)
※”did”+「原形」でつい最近動作が完了したという表現になります。
“I do get it”
(それを手に入れようとしている)
※”do”(主語が三人称の場合は”do”もしくは”does”)+「原形」で過去に開始した動作が未完了であることを表現します。
【be動詞を使った「現在形」】
“I be getting it”
(いつもそれを手に入れている)
※”be”+「動詞の-ing形」で「いつも〜している」という習慣的な動作を表します。
【3つの「未来形」】
“I’mma get it”
(今からすぐにそれを手に入れる)
※”I’mma”+「原形」で「今からすぐに」というごく近い未来を表現します。
*I’mmaについては次の項目を参照
“I’m gonna get it”
(これからそれを手に入れる)
※”I’m”+”gonna”+「原形」で「これから」という近い未来を表現します。
“I gonna get it”
(いつかそれを手に入れる)
※”gonna”+「原形」で「いつか」という不特定の未来を表現します。
“I’mma”を使いがち
ポイント黒人英語では“I”(私)が主語の時に、標準英語で言うところの“I’m goint to”(「~するつもりだ」という「ごく近い未来」を表す表現)の代わりに“I’mma”「あま」を使うことがあります。
「私」以外が主語の場合は、“you are going to”や“He is going to”のように標準英語と同様の表現になります。
<例>
標準英語:
“I’m going to drive you home”
(家まで乗っけてくよ)
黒人英語:
“I’mma drive you home”
(家まで乗っけてくよ)
同じ単語を2度繰り返して意味を強調しがち
ポイント黒人英語では強調表現の手法として同じ単語を2度連続して言うことがよくあります。
<例>
“He is not ugly. He is ugly ugly“
(あいつはブサイクじゃない。めっちゃブサイクだ)
“I’m not just broke. I’m broke broke“
(おれはただの貧乏じゃない。ホントに全く金がないんだ)
否定語を重複して使いがち
ポイント標準英語の否定文では“I don’t want to go anywhere”の“don’t”のように1つの文で「否定語」を1つ使用しますが、黒人英語においては、否定的な意味を持つ単語を1つの文で複数並べて使用する場合があります。
このように1つの文中で2つの否定表現を並べることを“double negation”(二重否定)といいますが、標準英語においてはこの”double negation”は文法的に適切ではないと言われています。
<例>
標準英語:
“I won’t say anything”
(おれは何も言わねえ)
黒人英語:
“I won’t say nothing“
(おれは何も言わねえ)
※1つの文で“won’t”という否定語と、“nothing”「何も〜ない」という否定的な表現が同時に使われています。
be動詞を省略しがち
ポイント黒人英語では“is”や“are”のbe動詞がしばしば省略されることがあります。
省略されるのは”is”と”are”のみで、”am”や”was”、”were”は省略されません。
<例>
標準英語:
“You are silly”
(あんたバカね)
黒人英語:
“You silly”
(あんたバカね)
標準英語:
“He is my brother”
(あいつはおれのブラザーだ)
黒人英語:
“He my brother”
(あいつはおれのブラザーだ)
be動詞の人称をごっちゃにしがち
ポイントbe動詞は標準英語では二人称、三人称の現在形/過去形でそれぞれ“are/were”と“is/was”と使い分けますが、黒人英語においては本来“are”や“were”が使われるべきところも“is”や“was”が使われ、二人称と三人称の区別がなくなることがよくあります。
<例>
標準英語:
“All of my friends are crazy”
(おれの友達は全員やばい)
黒人英語:
“All of my friends is crazy”
(おれの友達は全員やばい)
標準英語:
“We were having fun last night”
(おれたちは昨日楽しんでいた)
黒人英語:
“We was having fun last night”
(おれたちは昨日楽しんでいた)
動詞をシンプルにしがち
ポイント上記で見たbe動詞だけでなく、一般動詞においても本来三人称単数の”-s”がつくところで“-s”が省略されることがよくあります。
過去形の表現は標準英語と同様に主語の人称による動詞の活用(三人称だから”-s”をつけるなど)はありません。
<例>
標準英語:
“She looks so tired”
(彼女はとても疲れているようだ)
黒人英語:
“She look so tired”
(彼女はとても疲れているようだ)
アポストロフィーエスを省略しがち
ポイント標準英語で「〜の物」という時につけるアポストロフィーエス(’s)は、黒人英語では省略される場合が多々あります。
<例>
標準英語:
“She is my girlfriend’s sister”
(あの子はおれの彼女の妹だ)
黒人英語:
“She my girlfriend sister”
(あの子はおれの彼女の妹だ)
※ここではアポストロフィーエスが省略されているとともに、上の項目で見たbe動詞の省略も同時に起こっています。
“them”と”they”を独特な形で使いがち
ポイント黒人英語では、”that”の複数形の“those”「それらの」の代わりに”them”を、また”they”の所有格である“their”「彼らの」の代わりに”they”を使う場合があります。
<例>
標準英語:
“She looks nice in those jeans”
(彼女はそのジーンズが似合っている)
※ジーンズは両足でセットなので複数形の”those”が使われます。
黒人英語:
“She look nice in them jeans”
(彼女はそのジーンズが似合っている)
※黒人英語では”those”の代わりに”them”が使われ、また上の項目で見たように、三人称単数の”looks”の”-s”が省略され”look”になっています。
標準英語:
“She is their goddess”
(彼女はみんなの憧れだ)
*goddess=憧れの女性という意味のスラング
黒人英語:
“She is they goddess”
(彼女はみんなの憧れだ)
※「みんなの」という意味の”their”の代わりに”they”が使われています。
黒人英語の特徴:単語編
続いては黒人英語でよく見たり聞いたりする言葉について、いくつか紹介していきたいと思います。
ain’tを多様しがち
ポイント“ain’t”という単語は、カジュアルな日常会話で広く使われているスラングで、
- be動詞の否定形(“am not, isn’t, aren’t)
- 助動詞の否定形(“won’t, haven’t, hasn’t”など)
の全てをこれ1つで代用できてしまう便利な表現です。
フォーマルな場で使うことは推奨されませんが、カジュアルな会話ではとてもよく聞かれ、黒人英語では特に多用されます。
<例>
標準英語:
“I am not a bad guy and you aren’t either”
(おれは悪人じゃないしお前も違うだろ)
黒人英語:
“I ain’t no bad guy and you ain’t either”
(おれは悪人じゃないしお前も違うだろ)
※ここでは最初の”ain’t”の後に”no”が来て、上の項目で説明した「二重否定」(”double negation”)も起きています。
標準英語:
“I haven’t done anything”
(おれは何もやってねえ)
黒人英語:
“I ain’t done nothing“
(おれは何もやってねえ)
※ここでも標準英語の”anything”が黒人英語では否定表現の”nothing”に変わり「二重否定」(”double negation”)が起きています。
“-ing”をアポストロフィー(’)で省略しがち
ポイント2音節以上の単語で最後が”ing”のように/ŋ/(んぐ)の音で終わっている単語は、アポストロフィー(‘)を使って「-n’」と表記します。
<例>
1音節:
“hang”
2音節:
“hangin’ “
※“hanging”は二音節(han/ging)に分かれます。
“thing”を”thang”と書きがち
ポイント黒人英語では“thing”「もの」という単語を“thang”と表記することがしばしばあります。
これには実は発音が関係していて、黒人英語では/ŋ/の前に/ɪ/の音が来ると[θɛŋ~θæŋ]の音になるため、その音をアルファベットで表現すると”thang”になるからです。
<例>
標準英語:
“It isn’t a thing“
(なんて事ことないよ)
黒人英語:
“It ain’t no thang“
(なんて事ことないよ)
※上の項目で見た通り、黒人英語ではしばしば”isn’t”が”ain’t”に変化します。また、標準英語の”a”の部分に否定表現の”no”が入り「二重否定」になり、最後に”thing”が”thang”に変化する、というコテコテの黒人英語表現となっています。
“gonna”、”trynna”、”finna”を使いがち
ポイント黒人英語では“gonna”(”going to”)、“trynna”(”trying to”)、“finna”(”fixing to”)を日常的によく使います。
- “gonna”(ごな)は「~するつもりだ」
- “trynna”(ちゅらいな)は「〜しようとしている」
- “finna”(ふぃな)は「(まさに今)〜しようとする/〜する予定だ」
という意味になります。
<例>
“I’m gonna do it”
(おれがやるよ)
“I’m trynna do it”
(おれがやろうとしている)
“I’m finna do it”
(おれがやるところだ/やる予定だ)
※”finna”は”fixina”や”fixna”と表記する場合もあります。
黒人以外の人種(特に白人)が「Nワード」を使うと異常に反応しがち
ポイント英語には黒人に対する差別的な用語である「Nワード」(”N” word)というのが存在します。
黒人はかつて奴隷制度時代に白人のご主人様から名前ではなくこの「Nワード」で呼ばれ、奴隷制度がなくなった今も、当時の白人至上主義の文化は根強く残っています。
そのため黒人以外の人種(特に白人)がこの言葉を使うと度々取り上げられ、SNSなどで動画が拡散されると炎上騒ぎになることもよくあります。
「Nワード」はタブー用語ですが、逆に黒人同士は互いに親しみを込めてこの「Nワード」で呼び合います。
<例>
“Steve got knocked the f*ck out for calling out a black man by the “N” word”
(スティーブは黒人を「Nワード」で呼んだことでボッコボコにされた)
“-ass”という造語を作りがち
ポイント黒人英語では状態を表す形容詞を強調するために語尾に“-ass”を付け足してオリジナルの造語を作ることがよくあります。
<例>
“big”(大きい)
“big-ass”(デカイ)
“crazy”(おかしい)
“crazy-ass”(ぶっ飛んでる)
“smooth”(滑らか)
“smooth-ass”(超滑らか)
“bitch”、”sh*t”、”f*ck”などの下品な言葉をカジュアルに使いがち
ポイント本来”bitch”、”sh*t”、”f*ck”などは“cuss word / curse word”(とても下品な言葉)と言われ使うのを控えがちですが、黒人はこれらの言葉を日常会話でとてもカジュアルに使いこなします。
<例>
“Shut your bitch-ass up”
(黙れよビビリが)
“This sh*t is so cute!”
(これめっちゃかわいいわ!)
“This sh*t is so f*ckin’ cute!”
(これまじでめっちゃかわいいわ!)
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父親のことを”pops”と呼びがち
ポイント英語ではよく母親のことを“mom”、父親のことを“dad”と呼びますが、黒人英語では父親のことを“pops”(ぱっぷす)と呼びます。
“-s”が付いていますがこれは複数形を意味するわけではありません。
ちなみに黒人英語でも母親は”mom”です。(非常に稀ですが”moms”と言う場合もあります)
<例>
“My mom was a teacher and my pops was a preacher at local churches”
(おれのおふくろは教師で親父は地元の教会の牧師だった)
youの複数形でy’allを使いがち
ポイント標準英語では“you”は「あなた」と「あなたたち」のどちらにも使われますが、これでは「あなた」だけを指すのか「あなたたち」全員を指すのかわからない場合があるので、スラングで“you guys”(あんたたち)という表現が存在します。
ところが、黒人英語では”you guys”はあまり使用されず、代わりに“y’all”(よー)が多用されます。
※”y’all”は“you all”の略です。
※ちなみに”you guys”の”guys”は「男性」ですが、女性のみのグループに対しても自然に”you guys”を使います。
<例>
標準英語:
“You guys are crazy, but I love you guys“
(お前らみんなイカレてるけど愛してるぜ)
黒人英語:
“Y’all are crazy, but I love y’all“
(お前らみんなイカレてるけど愛してるぜ)
黒人英語の特徴:番外編
ここからは英語から少し離れて、黒人文化における「あるある」というのを少し紹介していきたいと思います。
おっぱいよりお尻を愛しがち
ポイントあなたはおっぱい派ですか?お尻派ですか?黒人は「圧倒的にお尻派」です。
まずはこちらの地図をご覧ください。
これは、世界中の紳士たちに安全で良質な映像コンテンツを配信している、我らがpornhub.comが世界規模で行った「おっぱい派 vs お尻派」の世論調査の結果を表した地図です。
- 世界地図の「青」で示されている地域は“BOOBS”、つまり「おっぱい派」
- 世界地図の「赤」で示されている地域は“BUTTS”、つまり「お尻派」
を示していますが、ご覧の通り黒人の人口が多いアフリカ大陸のほぼ全域をはじめ、アメリカや中南米のほぼ全てが真っ赤っか=「お尻派」となっています。
ちなみに日本は「青」なので国民全体では「おっぱい派」の方が多いことがわかりますね。
このことから、黒人は世界規模で圧倒的におっぱいよりお尻が好きということがわかります。
では、次はアメリカ単体で見てみましょう。
こちらも、
- 世界地図の「青」で示されている地域は“BOOBS”つまり「おっぱい派」
- 世界地図の「赤」で示されている地域は“BUTTS”つまり「お尻派」
となっていますが、北部の一部地域と東北部のいくつかの州を除いて真っ赤っかになっていますね。
このようにアメリカ単体で見ても「お尻愛好者」の方が圧倒的に多いことがわかります。
さらに、次はアメリカのそれぞれの州における「おっぱい派 vs お尻派」の構図を見てみましょうか。
ここでは、
- 上の青い地図は、それぞれの州でおっぱい派がどれくらいいるか
- 下の赤い地図は、それぞれの州でお尻派がどれくらいいるか
を示していますが、この地図からアメリカの東海岸から南部にかけては赤の色が濃くなっている=「熱烈なお尻Lover」がいるということがわかります。
ここでアメリカ全土の黒人の人口分布図と比較してみると、
黒人が多く生活している地域と熱烈なお尻狂が多い地域とが見事にマッチングしていることが見てとれますね。
このことから、「黒人=お尻好き」の構図が浮かび上がってきます。
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レストランでシーフードを頼みがち
ポイント多くの黒人にとって、豪華なシーフード料理を食べることはステータスの1つと思われていて、それは黒人ラッパーのリリック(歌詞)にも度々現れています。
“Used to run the street, young n**** bare feet. Now I’m in these suites and I’m eating crab meats”
(昔は裸足でストリートを走るガキだった。今じゃスイートルームでカニを食ってるぜ)
—Rick Ross, “Mafia Music” (2009)
“Eatin’ shrimp A la Carte with some bitches from Brussels. Eatin’ clams and mussels”
(ブリュッセル出身の女とシュリンプのアラカルテを食ってるぜ。貝も食ってるよ)
—The Notorious B.I.G., “My Downfall” (1997)
“We eat so many shrimp, I got iodine poisoning. F*ck n***** make me sick with all that pinchin’ and bargaining”
(シュリンプを食い過ぎてヨウ素中毒になっちまった。周りの奴らはねだったり、たかって来たりでうぜぇ)
—Pimp C, “Sippin’ on Some Syrup” (2000)
ラッパーといえば、キラキラのジュエリーをまとい、高い車に乗り、常に若くてセクシーな女性を連れているのを連想する人が多いと思いますが、それらと同じくらいシーフードは特別な存在なんですね。
富をひけらかしがち
ポイント上記のシーフードとも少し関連していますが、黒人はとにかく派手なものが好きです。
奴隷制度の下で長らく虐げられていた反動もあってか、現在でも「富=権力」という意識は根強く残っていて、日本人の重んじる「謙遜の文化」というものは黒人には基本的に通用しません。
持っているものは見せびらかせてナンボです。
「おれは◯千万の車に乗り、◯百万の時計をつけてるぜ」という本当に清々しいくらい赤裸々な自慢を聞くのは気持ちがいいものです笑
このような文化は黒人の人口が特に集中しているアメリカ南部で顕著に見られ、その辺りはこちらの記事で詳しく解説しています。
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Mr.ミヤギが浸透しがち
ポイントMr. Miyagiは、The Karate Kidというアメリカの映画シリーズに登場する日本人の空手の達人で、同じ建物に住むいじめられっ子に空手を教えてやり、その子がいじめっ子の出場する空手トーナメントで優勝する手助けをしてあげる、というかっこいいおじいさんです。
このThe Karate Kidは全部で4部作あるなかなかのB級名作映画で、黒人は空手や柔道、テコンドーなどの“martial arts”「武道」が好きな人が多いことから黒人の間ではそれなりの認知度がありました。
そこへ2010年に、いじめられっ子役にジェイデン・スミス(ウィル・スミスの息子)、空手の達人役にジャッキー・チェンを起用したリメイク版が登場したことから認知度がさらに上昇し、その人気に再度火がつきました。
(よかったら英語の勉強にどうぞ)
原色系が似合いがち
ポイントこれはもう黒人の特権と言っても良いでしょう。
もともと肌の色が濃い黒人は鮮やかな原色系の服がとにかく似合います。
日本人ではまず似合わない派手な民族系の衣装をさらりと着こなしたり、スーツの差し色に鮮やかな原色系を入れてビシッとキメたり、似合いすぎて本当に羨ましいです。
裏打ちでビートをきざみがち
ポイント音楽における黒人の特徴として、いわゆる4つ打ちビートなどのスネア(ズン チャ ズン チャの「チャ」の部分)で、多くの日本人は首を頷くように前に揺すりますが、黒人は逆に「ズン」の方で首を前に揺すり、「チャ」でスナップを効かせて頭を後ろにスイングする場合が多々あります。
このリズムの取り方のことを「裏打ち」といい、黒人はこの裏打ちのリズムが自然と体に染み付いているため、絶妙なリズム感で独特のグルーヴを醸し出します。
黒人英語まとめ
はい、ということでマニアックな黒人英語の発音、文法、用語から文化的な特徴までを一緒に見てきましたがいかがでしたか?
まとめてみたらなかなかのボリュームになってしまいましたが、これらの特徴のパターンをきちんと理解すればきっとあなたも黒人英語がすんなりと耳に入ってくるようになるはずです。
実際のところは、細かいクセのようなものを挙げればまだまだキリがありません。が、これ以上マニアックな部分になってくると個人のレベルで変わってきたりするので、上記で見てきた部分さえしっかりと押さえておけばあなたも胸を張って「黒人英語マスター」と言えるでしょう。
是非何度も見返して覚えてくださいね。
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ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた!