【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.13「The Notorious B.I.G.編」

僕がラップミュージックに出会ったのは小学校6年生の時だ。

当時よく行っていた地元のレンタルCDショップで、何を間違えたのか洋楽セクションに迷い込んでしまい、そこで何も分からずたまたま手に取ったCD(The Rootsの“Things Fall Apart”)を借りて家で聞いた時の衝撃は今でも覚えている。

このシリーズでは、約20年間ラップミュージックを聞き続けた僕が自分の大好きな曲の中から、「これは面白い!」と思ったフレーズや、英語の勉強になると思った歌詞を厳選してお届けし、一人でも多くの人にラップミュージックの魅力を知ってもらうと共に、音楽を聞きながら英語を勉強する楽しさを感じてもらえたらと思う。

それじゃ、早速今日のエントリーを見ていこう―――。

ラップ名曲パンチライン

Sky is the limit and you know that you can have what you want, be what you want

-The Notorious B.I.G., “Sky’s The Limit” (1997)

パンチライン徹底解説

今日のポイント
  • “sky is the limit”というフレーズ
  • 関係代名詞の“what”

今日のパンチラインはNew York, Brooklyn出身のラッパー、The Notorious B.I.G, a.k.a.(またの名を)Biggie Smalls, a.k.a. Biggie(ビギ―)というラッパーの2ndアルバム“Life After Death”の中の“Sky’s The Limit”という3rdシングルからの1フレーズです。

ヒップホップ好きの間では「ビギ―」の愛称で親しまれるこのラッパーは史上最高のMCの一人と言われていて、僕自身も大好きなアーティストです。

今回はそんなビギ―のパンチラインを、

  1. “Sky is the limit and you know”
  2. “that you can have what you want, be what you want”

の2つのパートに分けて解説していきたいと思います。

“Sky is the limit and you know”

まずはいきなり出てくるこの“sky is the limit”というフレーズ、直訳すると「空が限界」となりますが、その意味するところはズバリ、「限界は空のように広い」=「可能性は無限大」というニュアンスとなります。

CHECK!

“sky is the limit”というフレーズ>

  • 「空」という境界のないものを「限界」とすることで逆説的に「可能性は無限大」という意味を持たせるフレーズで、日常会話でもしばしば使われる

そしてその後に“and you know”と続いているので、この部分は「可能性は無限大であなたは知っている」という意味になります。何を知っているのかというのはその後に続きます。

“that you can have what you want, be what you want”

ここでの”that”は「接続詞の”that”」といって、”that”の後の文(”S+V”の形)を”that”の前の文へ「~ということ」という形で繋げる(接続する)役割を果たしています。

ここでは、直前の“you know”(”S+V”)と”that”以降の“you can have~”(”S+V~”)を繋げ、「あなたは持てるということを知っている」という風になります。

そして「何を持つのか」という“have”の目的語の部分には“what you want”が入りますが、この”what”は「関係代名詞の”what”」で、「~するもの」という風に訳すため、「あなたが望むものを持てる」という意味になります。

最後に“be what you want”ですが、これは前の部分の“you can”に繋がっていて、同じく関係代名詞の”what”がついているので「あなたが望むものになれる」という意味になります。

つまり、ここのライン全体では、「あなたの望むものを持てる、あなたの望むものになれるということ」という感じになります。

CHECK!

<関係代名詞の“what”

  • 関係代名詞の”what”は直後に”S+V”がきて、「”S”が”V”するもの」という意味になる

まとめ

ということで、2つのパートの意味がわかったので繋げてみましょう。すると、

  1. 「可能性は無限大であなたは知っている」
  2. 「あなたの望むものを持てる、あなたの望むものになれるということ」

となるので、

“Sky is the limit and you know that you can have what you want, be what you want”

 

「可能性は無限大で、望めば何だって手に入れられるし、何にだってなれるんだよ」

という風に訳してみました。

とてもシンプルながらポジティブで力強いメッセージですね。

このパンチラインのすごいところは、このフレーズを残しているビギ―自身、Brooklynの貧しい家庭で育ち、成績は優秀だったにもかからわず10代前半からストリートでドラッグを売りさばき、停学や逮捕を繰り返しどんどん落ちぶれていくも、ラップを通じて才能を開花させ一気に世界中で愛されるスーパースターになったというサクセスストーリーを実現させた人物だということです。

自分自身の経験をもとに言っているだけあって説得力がありますね。

ただ残念なことに、ビギ―は1997年にヒップホップの西海岸と東海岸の抗争の真っただ中で何者かに撃たれ、たった24歳の若さにしてこの世を去っています。

そんな貧困と犯罪の底から自らの才能で大空に羽ばたき、壮大なパンチラインを自ら体現したビギ―は、同曲の最後を次のフレーズで締めくくっています。

Stay far from timid, only make moves when your heart’s in it. And live the phrase “Sky’s the limit”

 

「臆病になるな、心を決めた時だけ行動すればいい。そして「可能性は無限大」のフレーズを生きるんだ」

最高にかっこいいですね。

曲はこちらで聞けるのでよかったらチェックしてみてください(該当部分は2:12と4:19辺りからです)

実際このパンチラインは大空にきらめく星の数ほど多くの人々に勇気を与えたと同時に、ヒップホップ以外のジャンルも含めていろんなアーティストたちにインスピレーションを与えました。

例えば、Paul Brandtというカントリー歌手は、”There’s a World Out There” (1999)という曲の中で、

Don’t tell me the sky’s the limit. There’s footprints on the moon

 

「空が限界だなんて言わないでくれよ。月の上に足跡があるんだから」

というフレーズを残しています。

さらに、このフレーズとビギ―のオリジナルのパンチラインを元に、Logicというラッパーは“Young Sinatra ll” (2011)という曲の中で、

How can the sky be the limit when we have footprints on the moon

 

「月の上に足跡があるって言うのに、どうして空が限界になるんだ」

というフレーズを残していて、これは「空が限界な訳じゃない、もっと大きい宇宙にだって行ける」=「もっと大志を抱こう」とビギ―のフレーズを借りて、それをさらに自己流にアレンジしている面白いパンチラインです。

こちらの曲もかっこいいので是非チェックしてみてください(該当部分は0:34辺りからです)

ビギ―自身に話を戻すと、実はこの“Life After Death”「来世」というアルバムは、ビギ―が凶弾に倒れたわずか16日後にリリースされていて、ファーストアルバムですでに華やかなデビューを飾っていた当時のビギ―の人気はものすごく、このアルバムはリリースされると同時にチャートを駆け上がり、最終的にラップアルバム史上3番目に多く売れた作品となりました。

ちなみにビギ―のファーストアルバムのタイトルは“Ready to Die” (1994)「死ぬ覚悟はできている」であるというのも皮肉な話です。

もともとドラッグ売買の世界にドップリ浸かり込み、常に危険と隣り合わせの人生を送ってきたビギ―は、なんとなく先は長くないことを感じ取っていたのかもしれませんね。

そんな彼のファースト、セカンドの両アルバムは間違いなくラップ史の歴史に残る名作です。これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽を聞きながら楽しく英語を勉強をしたい!」と思った人は是非チェックしてみてください。

そしてさらに、ヒップホップ界、いや、音楽会のカリスマとも言えるビギーの人生を描いたドキュメンタリー“NOTORIOUS”は、ヒップホップファンならずとも超おすすめです。

貧困と犯罪で溢れる当時のBrooklynが生んだ稀有の才能の苦悩と憎悪にまみれたリアルな生き様は衝撃的で、そこから華やかな成功の階段を駆け上り、最後は銃弾に倒れそのはかない人生の幕が閉じるラストシーンで僕は普通に泣きました。良かったらこちらもチェックしてみてくださいね。


はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。

前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。

<前のエピソード>

【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.12「Biz Markie編」

<次のエピソード>

【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.14「KRS-One編」

また、第1回から見てみたい!という方がいましたらこちらからチェックしてみてください。 

cassette 【徹底解説】ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.1

それではまた!